| アメリカ判例分析 |
INADVERTENCE IN CLAIMS CANNOT OVERCOME
PROSECUTION HISTORY ESTOPEL BAR
| 控訴人 | Pioneer Magnetics inc. |
| 特許番号 | US-4,677,366 |
| 被控訴人 | Micro Linear Corp., |
| 裁判官 | Lourdes Baird Mayer |
特許クレームが不注意で狭まったという特許権者の主張は、行われた補正が特許性とは関連しないという理由を審査経過において示さない限り、禁反言を克服することができない。これについて、連邦巡回控訴裁判所(U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit 以下CAFCと略称) の最近の判決(Pioneer Magnetics Inc v. Micro Linear Corp., 連邦巡回番号 00-1012,1/23/02)に強く表明されている。
Pioneer Magnetics Inc.社は、異なるレベルの入力電圧を受け入れて出力電圧を発生させる回路設計unity power factor power supplyの特許(米国特許4,677,366)を有する。これは結果的に別の回路への安定した電源となる。
‘366特許のクレーム1では、整流器(rectifier)、ブースト変換器(boost converter)、制御回路(control circuit)、アナログスイッチング乗算回路(switching analog multiplier circuit)、パルス幅変調を含む回路装置(circuit means including a plus-width modulator)を特許請求している。審査官は、米国特許法第102(b)条(35 U.S.C. section 102(b))に基づきクレーム1〜5およびクレーム8,9をCarpenter特許が先行するとして拒絶した。それを受けてPioneer社は、クレーム1,7を補正し、原クレーム2〜6を削除したのである。クレーム1の補正では、クレーム2〜6をクレーム1に取り込んだ。そして原クレーム5の“circuit means“を“circuit means including a pulse-width modulator”に事実上書き換え、原クレーム4の”multiplier”を”switching analog multiplier circuit”に書き換えたのである。Pioneer社は、原クレーム1〜6には記載のなかった限定“switching analog”を追加したが、その理由についての説明はなかった。
Pioneer社は、Micro Linear Corp.社の製品が均等論のもとに限定”switching analog multiplier circuit” を含むクレームを侵害するとして、Micro社を特許権侵害で告訴した。
連邦地方裁判所では、Micro社に侵害はなかったとし、同社の非侵害として略式判決を下した。
Pioneer社はこれを不服として上告した。
次に掲げるのは、連邦地裁のPioneer社に対する判決である。
「クレーム補正が、審査経過禁反言を引き起こすか否かを決定するにあたり、裁判所は、第一に、どこのクレーム制限が均等論に触れていると申し立てられているのか、また、その補正がクレームの文言範囲を狭くしているか否かを決定しなくてはならない。ここにおいて、連邦地裁は、”switching analog multiplier circuit”が均等論に適合するとのPioneer社の主張、ならびにクレーム1の補正(multiplier circuitからswitching analog multiplier circuit)がクレームの文言範囲を狭くしたということについて議論するものではない。」
さらに連邦地裁は、「責任を担うのは、補正理由が特許性に関連のない旨を立証することを考慮すれば、特許保有者のほうである」とWarner-Jenkinson 社 V. Hilton Davis Chem. 社 520 US 17, 41 USPQ 2d (連邦巡回 1997年) ならびにFesto社 V. 焼結金属工業株式会社 234 F. 3d 558, 56 USPQ 2d 1865 (連邦巡回2000年)のケースを引用して認定した。仮に補正の理由が特許性に関係しないことを審査記録が示すならば、裁判所は禁反言が除外されるか否か決定するため、討議中の問題を考慮しなくてはならない。さらに、その理由が特許性に関係するならば、均等論は補正の内容に適用されない。しかしながら、何の説明理由も立証されなければ、出願人には特許性に関する特別な理由があると裁判所は仮定する必要がある。」
Pioneer社は、審査経過禁反言のもと連邦地裁は誤った略式判決を下したと反論した。同社は、switchingの制限は不注意による手違いで加わったと主張し、その主旨についての特許弁護士の宣誓申告書を引用した。
CAFCは、この反論に動じることはなかった。CAFCは、特許審査経過の正式な記録のみが理由の根拠となるため、弁護士の申告書はクレーム補正の決定事由にはならないことを明確にした。さらには、審査経過それ自身では、補正の理由が全くの不注意であったとは示していないことを認定した。また、仮に、補正についてのPioneer社の説明が受け入れられたとしても、不注意というのは十分な理由として成立しないと認定した。
さらに、CAFCは、「自発的な補正はその他の補正と同様に処理され、特許性に関連する理由のためにクレームの範囲を狭くした自発的な補正は、禁反言を引き起こす」と認定した。
したがって、CAFCは、連邦地裁の非侵害の決定を支持した。
クレーム補正が、審査経過禁反言を引き起こすか否かを決定するにあたり、裁判所は、第一に、どこのクレーム制限が均等論に触れていると申し立てられているのか、また、その補正がクレームの文言範囲を狭くしているか否かを決定しなくてはならない。ここにおいて、連邦地裁は、”switching analog multiplier circuit”が均等論に適合するとのPioneer社の主張、ならびにクレーム1の補正(multiplier circuitからswitching analog circuit)がクレームの文言範囲を狭くしたということについて議論するものではない。
さらに、連邦地裁は、「責任を担うのは、補正理由が特許性に関連のない旨を立証することを考慮すると、特許保有者のほうである」とWarner-Jenkinson 社 V. Hilton Davis Chem. 社 520 US 17, 41 USPQ 2d (連邦巡回 1997年) ならびにFesto社 V. 焼結金属工業株式会社 234 F. 3d 558, 56 USPQ 2d 1865 (連邦巡回2000年)のケースを引用して認定した。 仮に補正の理由が特許性に関係しない事を審査記録が示すならば、裁判所は禁反言が除外されるか否か決定するため、討議中の問題を考慮しなくてはならない。さらに、その理由が特許性に関係するならば、均等論は補正の内容に適用されない。しかしながら、何の説明理由も立証されなければ、出願人には特許性に関する特別な理由があると裁判所は仮定する必要がある。
Pioneer社は、審査経過から補正を行った理由と特許性とは無関係である旨の証明を怠った。
米国特許権を利用し獲得可能な保護を最大限にすることを目指す企業、また特許侵害行為申し立ての回避を目指す企業はPioneer社とFesto社の先述の事例を分析し、なおかつ、次に掲げるガイドラインを慎重に検討することをお勧めする。
出願人は、Festo社 V. 焼結金属工業234 F. 3d 558, 56 USPQ 2d 1865 (連邦巡回2000年)事例が均等論について再定義している事実を認識しておかなければならない。